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【試聴ができる】価格帯に分けて比較!

プロのエンジニアがおすすめするコンデンサーマイク11本

注目のコンデンサーマイク11本のサウンドを、エンジニアの飛澤正人氏にチェックしてもらいました。価格帯が「10万円未満のモデル」と「10万円以上のモデル」に分けてレビューしていくので、予算と目的を考慮して、マイク選びの参考にしてみてください。なお、飛澤氏が11本のマイクで録ったアコギのサウンドも試聴できるので、そちらもレビューと合わせてチェックしてみてください。

取材:黒田隆憲 写真:小貝和夫



トビサワマサヒト。Dragon Ashや鬼束ちひろ、THE 野党などの作品を手掛けているエンジニア。生のサウンドとブレイクビーツをシームレスに融合して構築する空間表現に定評がある。

飛澤正人'

飛澤正人


ザイド EC-Meオーディオテクニカ AT2050ブルー・マイクロフォンズ HummingbirdsEエレクトロニクス sE 2200aU

 まずは、10万円以下で購入できる4本のコンデンサーマイクからレビューをしていきます。今回試したマイクは、「そのまま使えるサウンドで録れる機種が多いな」という印象でしたね。すでにEQとコンプで処理した後のような、キャラクターを持ったモデルばかりなので、細かい音作りの仕方がわからない初心者にとっては、とても使いやすいと思います。
 サウンドの傾向的には、ロック系のギターやボーカルを、迫力のあるサウンドで録るのに向いている機種が多いですね。繊細なアコギのサウンドを録ったり、声の微妙なニュアンスを録るのは、高級な機種の方が得意かもしれませんが、自分がやりたい音楽との相性さえ良ければ10万円以下のマイクでもまったく問題ないというか、むしろプレイヤーのポテンシャルをうまく引き出してくれるマイクもありました。
 例えばアコギだったら、ストロークの荒々しい感じは、10万円以下のモデルの方が良く録れましたし、レスポンスの早さや音の立ち上がりとかは、10万円以上のマイクと遜色ないモデルもあるので、コストパフォーマンスは総じて非常に高いという印象でした。


ザイド EC-Me
オープンプライス(¥6,463前後)

特許技術の小型アルミニウムでコーティングされた振動カプセルを持つエレクトレット・コンデンサーマイク。感度が高くて低ノイズ、かつダイナミックレンジが広く、宅録からライブレコーディングまで幅広く活用できる。

ロック系のパンチの効いた声が録れる超低価格モデル

 今回のマイク試奏で一番驚いたのが、このマイクですね。歌を録ってもギターを録っても、すごくバランスがいいです。この見た目の手軽な感じと、非常にリーズナブルな価格からは想像もつかないくらい、高級なサウンドで録れました。
 音のレスポンスもいいですし、立ち上がりもすごく早かったです。アコギはストロークを録った時が特に良かったですね。中域に少し色付けがあって、そこがスコーンと前に出てくる感じなんですね。だから、アコギを録った時にはいい感じでヌケてくれますし、ボーカルだったら若干ロック寄りのパンチの効いた声になってくれるので、やりたい音楽ジャンルとの相性さえ良ければ、文句なしのマイクなんじゃないかなと思います。「シュアSM57をコンデンサーマイクにした感じ」とでも言いましょうか。オケがラウドに鳴っていて、その中で勢い良く演奏したり、歌っているのを録りたい時はバッチリですね。
 SN比に関しては、高級機種と比べるとこの価格帯なので多少気になりましたが、宅録で作品を作っているミュージシャンの方が、入門用マイクのひとつとして購入を検討するのには良さそうな製品ですね。もちろん、すでにマイクを持っている方でも、これを1本持っておいて損はしないと思います。

EC-Me本体

●指向性:単一指向性  ●最大入力SPL:135dB(1kHz THD1%)
●感度:−36db±2dB (0dB=1V/Pa @1kHz)  ●周波数特性:30Hz〜18kHz  ●SN 比:76dB
●出力インピーダンス:250Ω±30 %  ●外形寸法:長さ= 157mm/直径= 40mm  ●重量:210g
●付属品:専用ショックマウント、マイクポーチ、変換ネジ(3/8- 5/8)

問:イースペック(株)
TEL:06-6636-0372
http://e-spec.co.jp





オーディオテクニカ AT2050
オープンプライス(¥21,000前後)

ダイアフラムにハニカム形状の凹凸を付けることで、高感度と高SN 比を実現した、同社のコンデンサーマイク「20シリーズ」の最高峰モデル。無指向性と単一指向性、双指向性をスイッチで簡単に選択できる。

ミックスを終えた後のような、イジる必要のない録り音

 今回、歌ってくれたボーカリストの小寺さんによると、本機は「歌っている時にハイがきらびやかに感じた」そうです。実際、高域が多少強調されたような印象で、後からEQでイジる必要のないボーカルトラックが録れました。とにかく上の帯域のヌケがしっかりしているんですよ。
 アコギのストロークを録った時も、「シャキッ」とした音で録れるというか、「カリーン」とした音になるというか、まるでミックスダウンを終えた後のようなサウンドで録れました。EQやコンプをかける必要がないマイクなんですよね。レコーディングの段階で音が完成されるので、マイク録音の初心者にはすごく親切なマイクだなと思いました。
 低音に関しては多少控えめな感じを受けましたが、低音がもう少し欲しいなと感じる場合は、EQで低音を上げるよりはハイを少し削ってあげるのがオススメですね。そのようにして低音をふくよかにしてあげると、ボーカルやアコギだけじゃなく、様々な楽器に対応できると思います。
 勢いのあるサウンドがヌケのいい音で録れるので、ジャンルで言うとロック系のレコーディングに向いているんじゃないでしょうか。2万円台の製品としては、とても優秀なマイクだと思います。コストパフォーマンスが非常に高いですね。

AT2050本体

●指向性:無指向性/単一指向性/双指向性(可変)  ●最大入力SPL:149dB(1kHz THD1%)
●感度:±42dB(0dB= 1V/1Pa 1kHz)  ●周波数特性:20Hz〜20kHz  ●SN 比:77dB 以上(1kHz 1Pa)
●出力インピーダンス:120Ω平衡  ●外形寸法:長さ= 171mm/直径= 52mm  ●重量:210g
●付属品:専用ショックマウント、マイクポーチ、変換ネジ(3/8- 5/8)

問:(株)オーディオテクニカ
TEL:03-6801-2080
http://www.audio-technica.co.jp/





ブルー・マイクロフォンズ Hummingbird
¥47,000

同社のフラッグシップマイクであるBottleの「B1」カプセルを元に設計された、高精度なスモールダイアフラムを搭載したクラスAコンデンサーマイク。回転式ヘッドを調整することで、従来のマイクでは困難な設置もできる。

余計な低音を抑えたいアコギのレコーディングに最適

 これは、歌にはあまり使わないタイプのマイクですので、アコギのみで試奏を行ないました。
 ヘッドの部分が可動式になっているので、マイキングがすごくやりやすいです。今回は比較検証をするために、距離や向きを変えずに録りましたが、普段のレコーディングでは、マイクの位置や向きをほんの少しだけ動かしたい場面がよくあるんですね。そういう時は、マイクスタンドごと動かさなければいけなくなるんですけど、このマイクだったらヘッドだけちょこっと向きを変えられるわけですから、すごく便利ですね。
 音の印象は、アコギを弾いてくれた(本田)コウいわく、「オーソドックスなコンデンサーマイクとは別のテイストが欲しい時に使いたくなる」ということでした。つまり、サウンドへの味付けがわりとしっかりあって、特にローの部分が抑えられているような印象がありつつ、ミッドから上のサウンドが非常にいい。そのような特徴は、余計な低音を拾いたくないアコギのレコーディングとは、すごく相性がいいんですよ。演奏もしやすかったみたいです。
 あと、ストロークよりアルペジオを録った時の方がいい感じでした。音のツブ立ちもハッキリしていて、1音1音の存在感がしっかりしていましたね。

Hummingbird本体

●指向性:単一指向性  ●最大入力SPL:130dB(1kHz THD 0.5 %)  ●感度:15 mV/Pa 1kHz
●周波数特性:20Hz〜20kHz  ●SN 比:85.5dB  ●出力インピーダンス:50Ω
●外形寸法:長さ= 170mm/直径= 27mm  ●重量:212g
●付属品:マイククリップ、専用ウィンドスクリーン、専用キャリーケース

問:TCグループ・ジャパン
TEL:03-5302-4947
http://www.bluemic.jp/





sEエレクトロニクス sE 2200aU
¥49,000

世界中の主要アワードを多数受賞した、「2200シリーズ」の最新モデル。ハンドメイドで、ブラックラバー・ペイントフィニッシュによりシャーシの共振を低減。また、単一指向性、双指向性、無指向性の3パターンに対応している。

力強い歌い方を引き出してくれる高価格帯クラスの性能

 本機には専用のポップガードが付いていて、ボーカルの「フカレ」が直接ダイアフラムにかからないよう、息を下へ逃がす構造になっています。これがなかなか優秀なんですね。ただ、今回の試奏は比較検証ですので、他のマイクと同じ距離にポップガードを立てて試奏しました。
 このマイクもコストパフォーマンスが非常に高いですね。実は値段を聞くまでは、10万円以上するマイクだと思っていました。音ヌケがいいし、レスポンスも良好なので、ロック系のボーカルに向いています。中域の3kHzとか4kHzあたりに色付けがある分、演奏中の生音と聴き比べると少し違いますが、そこが好みかどうかですね。最初からそういうロックなサウンドを求めているなら、非常に気持ち良く歌えると思います。今回歌ってくれたボーカリストも、「自然とロックな歌い方になった」と言っていました。“力強い歌い方を引き出してくれるマイク”という感じでしょうか。
 アコギの場合も、ストロークが力強くなりますね。ガットギターやバイオリンとの相性もすごく良かったです。中域のヌケの良さとレスポンスの早さもあって、フィンガリングのニュアンスがとてもしっかり出ていたので、弦楽器に向いたマイクだと思います。コウいわく「渋谷系のポップなアコギ」になるそうですよ。

sE 2200aU本体

●指向性:無指向性/単一指向性/双指向性 ●最大入力SPL:135dB(1kHz THD 0.5 %)
●感度:20 mV/Pa  ●周波数特性:20Hz〜20kHz  ●SN 比:16dB(1kHz 1Pa)
●出力インピーダンス:200Ω以下  ●外形寸法:長さ= 215mm/直径= 51mm
●重量:598g  ●付属品:専用ショックマウント、ポップガード

問:(株)フックアップ
TEL:03-6240-1213
http://hookup.co.jp



続いては、価格帯が10万円以上のコンデンサーマイク7本の試聴レポートをお届けします。飛澤氏には各モデルのサウンドチェックをしてもらうと共に、高価格帯の製品にどのような利点があるのかについても教えてもらいました。

10万円以上のコンデンサーマイク
AKG C414 XLSAKG C414 XL Uブルー・マイクロフォンズ BlueberryJzマイクロフォン Flamingo STANDARD ルウィット LCT-940マイクテック CV3ペルーソ P-84

 高額のマイクと安価なマイクを比べた時にどこが決定的に違うのかというと、ズバリ「原音再生能力」が違います。これは各部品の“質の差”によるところが大きいのですが、最近は特に10万円代のマイクがとても良く出来ている印象ですね。
 今回のチェックでは、安価なマイクは繊細な音源、例えばバラードのように強弱のしっかりあるボーカルには向きませんが、10万円以上のマイクはそのあたりをしっかりカバーできる余裕が感じられました。ただ、高額のマイクの中でも、色付けのあるマイクは楽器のソースを選びますから、マイクを選ぶ際はその見極めをしっかりしないといけません。
 また高額なマイクには、後から“加工がしやすい”という大きな利点があります。JzマイクロフォンFlamingo STANDARDやルウィットLCT-940などの“空気”が感じられるマイクは、多少強引な加工をしても「そこにある雰囲気」をしっかりと伝えられる特性を持っています。全体的に見て「感度」や「レスポンスの早さ」も値段に比例しているという印象でした。


AKG C414 XLS
¥170,000

C414の中でも評価が高いC 414B ULSの音質を忠実に再現したモデル。デュアルダイアフラムにより、近接効果を最小限に抑制。指向性は9 段階で、4 段階のローカットとレベルオーバーを知らせるLEDを搭載している。

サウンドに色付けがほとんどされない原音に忠実な音

 これは僕も普段から使っているモデルなのですが、原音に対してすごく素直に録れるマイクなんですよ。サウンドに色付けがほとんどされないんです。下の帯域もしっかり録ってくれて、存在感のある音になります。このクラスのマイクの中では、最もスタンダードな機種のひとつだと思いますね。
 例えば、これを2本使ってステレオで録れば、その場で聴いた音に限りなく近い音像が作れます。ナチュラルに録れる分、後からEQやコンプを使って中域や高域を足していく必要はあるんですけど、その場合もサウンドの加工がしやすいんですよ。積極的に音作りをしたいと考えている中級〜上級者にとっては、使い勝手のいいマイクだと思いますね。ベーシックな音が録れるので、音作りを基礎からしっかり学びたい初心者にも、もちろんオススメできます。
 ボーカルに関しては、歌った瞬間にボーカリストが思わず「歌いやすい!」って叫んでいましたね。そのくらい、素直でナチュラルな音で録れます。歌った通りの声がそのまま返ってくるので、歌い方がロック寄りに引っぱられたりとか、そういうことはないわけです。それは歌だけではなく、ピアノでもバイオリンでも何でもそうだと思います。オールマイティに使えるマイクですね。

C414 XLS

●指向性:無指向性/広単一指向性/単一指向性/超単一指向性/双指向性と各々の間の9 段階(可変)
●最大入力SPL:140dB(THD 0.5 %) ●感度:−33dB re 1V/Pa(±0.5dB) ●周波数特性:20Hz〜20kHz
●出力インピーダンス:200Ω以下 ●外形寸法:長さ= 160mm/横幅= 50mm/奥行き= 38mm
●重量:300g ●付属品:ショックマウント、ウィンドスクリーン、ポップスクリーン、マイクポーチ、キャリング・ハードケース

問:ヒビノ(株)
ヒビノプロオーディオセールス Div.
TEL:03-5783-3110
http://www.hibino.co.jp/





AKG C414 XL U
¥171,000

C414の前身モデル「C12」の特性を踏襲したモデル。4kHz 以上のハイ上がりの特性により、きらびやかなサウンドを実現。指向性は9 段階で、4 段階切り替え式のローカットと、音が歪む手前で点灯するLEDを搭載している。

シンガーの口の中の細やかなニュアンスまで収音可能

 このモデルは、先ほどのC414 XLSのゴールドバージョンです。形は一緒なのに、音はかなり違いますね。名機「C12」の復刻モデルというか、サウンドの特徴をかなり似せて作られています。なので、C414 XLSよりも硬めのサウンドで録れるという印象でした。キャラクターは似ていますが、こちらの方が中域が立っている分、アコギに関してはきらびやかなサウンドになって、演奏者も弾きやすかったようです。
 ボーカリストもすごく歌いやすかったようで、どうやって発音したかというような、口の中の細やかなニュアンスまでしっかりと拾ってくれました。今回はC414 XLSで録ってから、C414 X LUで録るという順番で歌ってもらったのですが、ボーカリストにとっては前者はとにかく歌いやすくて、後者はボーカルのポテンシャルをグッと上げてくれる印象だったそうです。
 低域もしっかりと収録できるので、ジャンルを問わずオールラウンドに使うことができますが、本機の方がC414 XLSよりもきらびやかで中高域が立っている分、若干ポップス寄りだと言えるかもしれないですね。両機はスペックも値段もほとんど変わらないので、あとは自分の好みや目的でどちらかを選べばいいという感じでしょうか。

C414 XL U本体

●指向性:無指向性/広単一指向性/単一指向性/超単一指向性/双指向性と各々の間の9 段階(可変)
●最大入力SPL:140dB(THD 0.5 %) ●感度:−33dB r e 1V/ Pa(±0. 5dB) ●周波数特性:20Hz〜20kHz
●出力インピーダンス:200Ω以下 ●外形寸法:長さ= 160mm/横幅= 50mm/奥行き= 38mm ●重量:300g
●付属品:ショックマウント、ウィンドスクリーン、ポップスクリーン、マイクポーチ、キャリング・ハードケース

問:ヒビノ(株)
ヒビノプロオーディオセールス Div.
TEL:03-5783-3110
http://www.hibino.co.jp/





ブルー・マイクロフォンズ Blueberry
¥120,000

クラスAディスクリートのトランスフォーマーベースのマイクアンプと、ハンドメイドのラージダイアフラムで構成されたコンデンサーマイク。高価なビンテージマイクが持つ特有のサウンドを目指して設計されている。

「主役感」のある、前に飛び出してくるサウンド

 まず、アコギの録り音がすごく良かったですね。サウンドに「主役感」があるというか、コウいわく「モニターから返ってきた音を聴いた瞬間に“これだ!”と思った」そうです。アコギ用のマイクとして、1本買うならこれでしょうね。高域から低域までしっかりと録れるので、音に身が詰まっている感じなんです。
 他のマイクだと、例えばローが抑えられていたり、あるいは中高域を強調したりといった色付けがある分、後で加工が必要になってしまう部分があるんですけど、このマイクで録ったアコギの音はとても存在感がありましたね。特にアルペジオを録ると力を発揮するし、高級感のあるサウンドだと思います。どちらかというとカラッと乾いた音という印象です。
 ボーカルは、ささやくように歌っても、大きな声で遠くに向かって歌っても、ちゃんと聴き手の耳に歌がまっすぐ届く感じがしました。他の10万円以上のマイクと比較すると、上下の帯域が狭く感じるかもしれませんが、歌の芯の部分をグッと前に押し出してくれるんです。レスポンスやヌケが良くて、ガッツのある音で録れるので、ロック系のボーカルに向いています。男性ボーカルなら、優しい声の人よりもシャウト系のザラついた声にマッチしそうですね。相性さえ合えば一生手放せなくなるマイクだと思います。

Blueberry本体

●指向性:単一指向性 ●最大入力SPL:134dB(1kHz THD 0.5 %) ●感度:20 mV/Pa 1kHz
●周波数特性:20Hz〜20kHz ●SN 比:86dB ●出力インピーダンス:150Ω
●外形寸法:長さ= 235mm/横幅= 50mm/奥行き= 30mm ●重量:998g
●付属品:専用ショックマウント、専用木製キャリングケース

問:TCグループ・ジャパン
TEL:03-5302-4947
http://www.bluemic.jp/





Jzマイクロフォン Flamingo STANDARD
オープンプライス(¥580,000前後)

ツインダイアフラムにより、広い周波数特性と伸びやかな高域を録れるモデル。音の透明感を損なわない大型ヘッド構造を持ち、チューブプリアンプにはクラスAフルディスクリート設計を採用して、歪みのない高出力を実現した。

声や音の空気振動まで拾う、色っぽいサウンドが魅力

 以前このマイクを試奏した時に惚れ込んでしまい、現在所有しているのですが、最初に使った時は「うわー!」って思いましたね。とにかく空気感がものすごく良く録れます。声とか音って空気振動じゃないですか。その質感がすごくよくわかるんですよ。これは、なかなか味わえない感動でしたね。官能的に録れるというか、非常に色っぽいサウンドなんですよ。
 それはアコギやピアノとか、生楽器全般にも言えることですね。どんな楽器を録っても、原音再生能力が高いと思います。空気振動で音を出しているものなら、何でもイケますね。多少、上の帯域は色付けされてシャキッとしているんですけど、柔らかさみたいな質感もちゃんとありますし。それと、近接効果が抑えられているようで、音源にすごく近づけて録っても、低音がブーストされることがないという利点がありますね。なので、ボーカルをすごくオンマイクで録っても、邪魔な低音が出ないのはうれしいです。すごくよく考えられたマイクですね。
 吐息交じりの声とか、シャウトとか、どんな歌い方をしてもバランス良く録れるし、歌っていて気持ちいいと思います。「思った通りの声で歌える」という感じです。アコギも圧倒的な存在感があるというか、密度の濃い音なので、弾いていてとてもテンションが上がるはずです。

Flamingo STANDARD本体

●指向性:単一指向性 ●最大入力SPL:134dB(1kHz THD 0.5 %) ●感度:27 mV/Pa 1kHz
●周波数特性:20Hz〜20kHz ●SN 比:87dB -A ●出力インピーダンス:100Ω
●外形寸法:長さ= 307mm/直径= 68mm ●重量:998g
●付属品:専用ショックマウント、専用電源ユニット、専用マイクケーブル、専用木製キャリングケース

問:(株)オールアクセス
TEL:03-5456-5032
http://allaccess.co.jp/





ルウィット LCT-940
オープンプライス(¥162,037 前後)

FETマイクと真空管マイクのキャラクターを兼ね備え、両者を自在にブレンドできるモデル。一般的な5つの指向性に加え、4タイプの中間パターンを搭載。4タイプのローカットや、過大信号を自動で抑える機能も装備している。

深みと存在感のある歌声が録れる高級な音質

 本機の大きな特徴はチューブとFETの切り替えができる点で、しかも無段階のツマミを使って、チューブとFETの音をブレンドできるんですよ。チューブを上げると太さと音圧感が出て、FETを上げるとカラッと硬めの音になるので、それを調整して細かく音作りができます。1本のマイクでここまでできるのはうれしいですね。あらゆるジャンルやシーンに対応してくれる頼もしいマイクです。
 アコギを録ってみると、レスポンスが速いというか、弾いた時のニュアンスがよくわかりますね。質感とか空気感がしっかり録れているんですね。
 ボーカルもすごく歌いやすかったみたいで、実に深みのある歌声を録ることができました。上から下までのバランスも良くて、音の存在感もしっかりあります。「非常に高級な音が録れるマイク」という印象ですね。マイクの集音レベル(音量)は低いのですが、SN比がとてもいいので、マイクプリでゲインを思いっきり上げてもまったくノイズが乗ってこないんです。そういう意味ではバイオリンのソロとかで繊細な音を録ると良さそうですね。あるいはドラムのアンビエンスに立てて、コンプで歪ませたりしてもカッコいいサウンドが録れそうです。中の真空管が見えたりと、ルックスに遊び心があるところも気に入りました。

LCT-940本体

●指向性:無指向性/ワイド単一指向性/単一指向性/超単一指向性/双指向性(可変) ●最大入力SPL:
FET=143dB(1kHz THD 0.5 %)、Tube=140dB(1kHz THD 0.5 %) ●感度:20 mV/Pa 1kHz(無指向性)、
23 mV/Pa 1kHz(単一指向性/双指向性) ●周波数特性:20Hz〜20kHz ●SN 比:86dB ●出力インピーダ
ンス:200Ω ●外形寸法:長さ= 192mm/横幅= 60mm/奥行き= 46mm ●重量:662g
●付属品:専用ショックマウント、専用電源ユニット、専用マイクケーブル、専用ウィンドスクリーン

問:(株)メディア・インテグレーション MI事業部
TEL:03-3477-1493
http://www.lewitt.jp/





マイクテック CV3
¥120,000

9つの指向性を選べる、ハンドメイドの真空管コンデンサーマイク。カプセルには同社のMK9、ヘッドアンプには米国製カスタムトランスを使用し、ビンテージマイクのようなクラシカルな音質と、伸びのいい低域を実現している。

ボーカリストのキャラクターを引き出してくれるマイク

 本機は、女性ボーカルの高域のキラキラした成分を引き出してくれます。先述したsE 2200a Uはロック系の歌い方を引き出してくれるマイクでしたが、こちらは「しっとりとした“お姉さん系”の歌い方を引き出してくれる」とボーカリストの小寺さんが言っていました。おそらく、歌声のキャラの違いがわかるくらい質感や量感をしっかり録れるマイクなのでしょうね。声の強弱や、喉の微妙なニュアンスをちゃんと捉えてくれるので、歌っているうちにボーカリストのキャラクターがどんどん引き出されるというか。それはきっと、内蔵された真空管の特性も影響しているんじゃないかと思います。ルックスはノイマンのマイクのようですが、U87よりはU67に近い音です。
 アコギを録った印象は、「すごくガッツのある音だな」という感じでした。いい意味でパワーがあって骨太で、ロックっぽい曲の中で弾いたらテンションが上がりそうですね。しかも、中域だけにガッツがあるわけじゃなくて、上から下までバランス良く収音できるところも頼もしいですね。アルペジオもストロークも、どちらもいい感じでした。また、指向性は9パターンから選べるので、部屋の空気感を混ぜたり、あるいはコーラスを録る時に無指向性にして1本のマイクを全員でグルッと囲んだりしても面白いですね。

CV3本体

●指向性:専用外部電源にて、無指向性〜単一指向性〜双指向性9パターンを切り替え可能 ●最大入力SPL:133dB
●感度:−35dBV/Pa ●周波数特性:20 〜20kHz ● SN 比:78dB
●外形寸法:長さ= 213mm/直径= 66mm ●重量:742g
●付属品:専用電源、アルミ製アタッシュケース、本体用木製ケース、スイベルマウント、ショックマウント、マイクケーブル

問:日本エレクトロ・ハーモニックス(株)
TEL:03-3232-7601
http://www.electroharmonix.co.jp/





ペルーソ P-84
¥158,000

スモールダイアフラムを採用した、フラットな周波数特性を持つコンデンサーマイク。出力用トランスと、すべての周波数帯域に対して優れた特性を持つ単一指向性のモデルで、音圧の大きいパートの録音にも対応できる。

EQとコンプをしっかりかけたようなアコギの音が録れる

 このモデルに関しては、アコギのみで試奏を行ないました。ひと言でいうと「ハイのヌケがいいマイク」です。5kHzとか7kHzあたりに色付けがあって、「シャリーン!」っていうサウンドで録れますね。アコギのストロークを録ってみると、EQとコンプをしっかりかけたような、加工する必要のない音で録れました。しかも色付けが全然イヤミじゃない。マイクを立てる位置や距離をしっかり決めてやれば、非常に存在感のあるストロークのサウンドが録れると思います。ガットギターを弾いた印象も良かったですから、他の弦楽器にも合うんじゃないでしょうか。
 しっとりとしたサウンドよりは、カラッと乾いたサウンドの方が得意かもしれませんね。バイオリンを録ると、ちょっとハイがキツいと感じる人もいるかもしれませんが、そのあたりは好みによるでしょう。ドラムの金ものにも合いそうで、ハイハットやオーバートップに立てたら力を発揮しそうです。
 ジャンル的にはガツンとしたロック系やパンク系のサウンドに向いていますけど、ポップスでもイケますね。しっとり系の曲でなければ、オールマイティに使えるマイクだと思います。ちなみに、無指向性のヘッド(カプセル)が付属しているので、それに交換すれば無指向性のマイクとしても使用できます。

P-84本体

●指向性:単一指向性、無指向性(カプセル交換型) ●最大入力SPL:142dB(1kHz THD 0.5 %)
●感度:15 mV/Pa 1kHz ●周波数特性:20Hz〜20kHz ●SN 比:14dB ●出力インピーダンス:200Ω
●外形寸法:長さ= 124mm/直径= 22mm ●重量:130g
●付属品:専用ショックマウント、専用ハードマウント、専用木製ケース、専用フライトケース

問:(株)エレクトリ
http://www.electori.co.jp
TEL:03-3530-6181



飛澤正人(トビサワマサヒト)
Dragon Ashや鬼束ちひろ、THE 野党などの作品を手掛けているエンジニア。生のサウンドとブレイクビーツをシームレスに融合して構築する空間表現に定評がある。