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プロクオリティでマイク録音ができる高性能8チャンネルレコーダー


ZOOM

F8

オープンプライス(¥135,000前後)

コストパフォーマンスの高い高性能な製品を多数発表しているズームから、8個のマイク/ラインインプットを装備し、10チャンネルの同時録音が可能なレコーダー「F8」が発表されました。放送局などのプロの現場にも対応するサウンドクオリティを誇るF8の実力を、エンジニアの間瀬哲史氏に検証してもらいましょう。


ZOOM「F8」

文:間瀬哲史 写真:吉浜弘之

ズームのマイクカプセル

▲通常のマイク以外にズームのマイクカプセルをつなぐこともできる。また、オーディオインターフェイス機能を搭載しているので、本機で録った音をUSB経由でパソコンに送ることも可能だ

リアパネル

▲リアパネルには電池収納ボックスやズームのマイクカプセルをつなぐ端子、タイムコード用の端子、ACアダプター用の端子などがレイアウトされている



F8の注目ポイント

@本体の両サイドにマイク端子を8個装備
マイク端子を8個装備

▲ボディの両サイドにはコンボタイプのインプット端子が4個ずつ、計8個装備されている(ノイトリック社製のコネクターを採用し、プロ用機器の出力の標準値である+4dBのライン入力にも対応)。また、各チャンネルには高品位なマイクプリを独立して搭載しており、それぞれに48Vと24Vのファンタム電源を個別に送ることが可能だ。コンボ端子の他に、正面から見て左サイドにはUSB端子や外部DC電源用の端子、SDカードスロットを装備。右サイドにはヘッドホン端子やメインアウト端子、ステレオミニのサブアウト端子が並んでいる。

A様々な録音フォーマットが選べる
様々な録音フォーマット

▲録音フォーマットはWAVかMP3からセレクトすることができる。WAVに設定した際は、最高24ビット/192kHzの録音に対応しているが、他に16ビットを選ぶことができ、サンプリングレートも96、88.2、48.048、48、47.952、44.1kHzから選ぶことが可能だ。なお、24ビット/192kHzに設定した時でも、8チャンネルの同時 録音をスムーズに行なうことができ、ストレスフリーで作業に集中できる。ちなみに、MP3に設定した場合は、128、192、320kbps/44.1、48kHzから音質を選択することが可能だ。

Bオーディオインターフェイス機能を搭載
オーディオインターフェイス機能

▲パソコンと本機をUSBケーブルで接続すれば、F8を8イン/4アウトのUSBオーディオインターフェイスとして使用することが可能だ。本機に録音したマルチトラックのデータをパソコンに送ることができ、本機でミックスしたステレオトラックのデータは、パソコン以外にiPadにも送ることができる(オーディオインターフェイスとして使う際の音質は、16、24ビット/44.1、48、96kHzから選択可能)。なお、Macはドライバなしで動作するが、Windowsは専用ドライバをズームの公式サイトからインストールする必要がある。

C専用アプリでリモートコントロールが可能
専用アプリ

▲本機はBluetoothにも対応しており、App Storeから無償ダウンロードできる専用iOSアプリ「F8 Control」を使うことで、iPhoneやiPad、iPod touchを使ってワイヤレスでコントロールすることができる。録音や再生、停止などの基本操作の他に、ミキサーのパンやフェーダーレベルのコントロールも可能だ。また、F8 Controlを使えば、本機から離れた場所で入力レベルやバッテリー残量のモニタリングを行なうこともでき、さらにはファイル名や録音データの日付と時刻などの情報もiOSデバイスで入力することができる。

音が非常にクリアかつ芯があって、とにかくパワフルです

 このF8はプロ仕様のスペックを持つフィールドレコーダーです。非常に多機能なので、まずはどんなモデルなのかを紹介しましょう。
 コンパクトなボディは堅牢なアルミ製で、端子類がキレイに配置されています。最小限のスイッチ類と2.4インチのフルカラーLCDディスプレイがフロント面に集約されており、様々な設定がスピーディにできるように工夫されているのがわかります。ディスプレイは輝度調整をすることができ、バックライト付きなので、暗いスタジオの中でもハッキリと表示を確認することができました。
 肝心な音質クオリティは最大で24ビット/192kHzに対応しており、録音フォーマットはWAVおよびMP3が選択可能です。同時録音トラック数は最大10トラックで、192kHzに設定した際も8トラックの同時録音が可能となっています。
 記録メディアはSDカードを採用しており、カードを本体に2枚挿入することができます。例えば、それぞれのカードに同じ8トラックを同時に録音してバックアップ用として使ったり、8トラックを1枚のカードに記録し、もう1枚のカードに内部のミキシング機能を利用してステレオにミックスしたトラックを記録する「スプリットレコーディング」という手法も可能です。
 さて、機能の紹介が長くなりましたが、今回は筆者のスタジオ「cafe2st」にてボーカルとアコギを2本のコンデンサーマイクで同時録音して、F8を試してみました。本機のピュアな音質を知るために、他の機材は通さずにマイクを直接本体のマイクイン(CH1とCH2)に接続しました。各チャンネルのゲインを上げてみたところ、想像以上の高音質に驚きました。24ビット/192kHzにして録ったのですが、情報量が多くて、非常にクリアかつ芯があるパワフルな音です。ハイパスフィルターとリミッターも装備されているので、本機とマイクだけで、後からエフェクトをかける必要がないそのまま使える音質で録ることができました。また、各チャンネルごとにゲインツマミが付いているので、すぐに目的のチャンネルのゲインを調整できます。
 他に、チャンネル1〜4に入力されたソースを、入力レベルだけを下げた状態でチャンネル5〜8に保険として同時録音できる、ライブレコーディングなどで便利な「デュアルチャンネル・レコーディングモード」という機能も持っています。実際、あえて実験的に大音量を鳴らして試してみましたが、歪まずにクリアな音で録音できました。
 また、本機が“プロ仕様”であることを打ち出している理由に、タイムコード(以下、TC)を送受信できるという点が挙げられます。この言葉になじみのない方も多いと思いますが、TCとは映像機器などと同期させる際に必要な信号のことで、本機は外部機器からTC信号をもらって、録音と同時にTCを記録できます。また、反対に本機で生成した精度の高いTCを、他の機器に供給することも可能です。
 通常、40〜50万円はするプロが使う業務用レコーダーと変わらない音質と機能を持ちつつも、コンパクトで価格がリーズナブルなので、私もライブレコーディングでぜひ使ってみたいと思いました。

両方をF8に直接入力して同時録音してみた

▲今回のチェックでは、ボーカルにはsEエレクトロニクスのsE 2200 aを、アコギにはアースワークスのSR69というコンデンサーマイクを立てて、両方をF8に直接入力して同時録音してみた

間瀬哲史

間瀬哲史(マセ テツシ)

ジャンルにとらわれない制作スタイルで数多くのレコーディングに関わる一方、坂本龍一の欧州ツアーのPAオペレーターを務めるなど、幅広く活躍するエンジニア。また、機材開発やスタジオプランニングなども自ら行なっている。

【SPEC】 ●記録メディア:SDカード16MB〜2GB、SDHCカード4 GB〜32 GB、SDXCカード64 GB〜512 GB ●入出力端子:インプット×8( XLR/TRSコンボ)、メインアウト×2(TA- 3コネクタ)、サブアウト×2(ステレオミニ)、ヘッドホン(標準ステレオ)、BNC(タイムコード)、USB 2. 0 端子 ●録音クオリティ:最大24ビット/ 192kHz ●最大同時録音トラック数:10(8イン×ステレオミックス)、8(192kHz 時) ●オーディオインタフェイス機能:最大音質クオリティ= 24ビット/ 96kHz●電源:単3 乾電池×8、ACアダプター、外部DC電源 ●外形寸法:178 . 2(W)×140 . 3(D)×54. 3(H)mm ●重量:960g




お問い合わせ:(株)ズーム
TEL:0570-078206
https://www.zoom.co.jp/