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フェアチャイルド660/670リミッターを完全再現 Fairchild Tube Limiter プラグイン・コレクションを紹介

フェアチャイルド660/670リミッターを完全再現 Fairchild Tube Limiter プラグイン・コレクションを紹介

 オーディオインターフェイスの「Apollo Twin」(アポロ・ツイン)を導入すると、数々のビンテージエフェクターをDAW上に再現する「UADプラグイン」が使用できます。その中から、リミッターの名器「フェアチャイルド660/670」を再現したモデルに注目します。

文:門垣良則(MORG) 写真:小貝和夫 門垣良則(670実機)


フェアチャイルドの660と670は、レコーディング業界では知らない人はいないほど有名な真空管リミッターの王様です。1960年代にビートルズやピンク・フロイドなどの多くの名盤で使われ、今でも大手スタジオで見ることができます。巨大な筐体に多数の真空管とトランスを搭載しており、その姿は圧巻です。
 660と670の魅力は何といってもその音像の大きさです。60年代のビンテージ機材と言えば、多くの方が高域の落ちたようなサウンドを想像するかもしれませんが、660と670はハイとローがしっかりと伸びる素晴らしい音質を持っています。通すだけの時もあれば強くかけることもあり、特にドラムに強くかけてビッグなビートを作る手法の本家と言えます。そんな660と670を再現したUADプラグインの性能を、実機と比較してみました。
 まずはアコギでサウンドを試しました。実機の670に通すと、それだけでレンジが広くなり音の説得力が増します。一方、UADの670は挿しただけだと音の感じが違いますが、インプットを実機と同じ値「12」に合わせ、アウトプットを上げるとかなり近い印象になります。高域のエアー感が増え、ローも落ち着きました。
 次にベースです。実機から試したところ、非常にまとまりのいい低音を感じられるようになり、UADも同じ設定にするとそっくりな印象になりました。実機のサウンドサンプル(※)は若干クリップしていますが、「インプット=12」の設定でこうなったのであえてそのままにしました。UADの場合はこの値ではクリップしませんが、もう少しゲインを上げるとクリップします。このクリップの挙動もよく似ていました。
 スネアは、かなり強めにかけた状態でも比べてみました。この空間を感じられる粘りのあるコンプ効果は、プラグインではなかなか表現できなかったのですが、UADのモデリング技術は素晴らしく、かなり似た感じまで追い込むことができました。
 実機の670は現存数が少なく、安くても300万円以上の価格で取り引きされます。そんな機材をこれほどハイレベルな音質で使用できるApollo Twinは革新的であり、その価値は計り知れません。

Apollo Twin

apollo twin

オープンプライス(市場予想価格:SOLO=¥75,000、DUO=¥95,000)

●外形寸法:150(W)×57(H)×152(D)mm ●重量:約1.05kg

【製品概要】
2イン/6アウト、24ビット/192kHzの録音・再生に対応したThunderbolt接続のオーディオインターフェイス。2chのプリアンプと、ギターやベースを接続できるHi-Z端子を装備し、付属のビンテージエフェクターを再現したプラグインは、かけ録りやミックスに使える


Fairchild Tube Limiter プラグイン・コレクション

Fairchild Tube Limiter プラグイン・コレクション

 Fairchild Tube Limiter プラグイン・コレクションには、モノラル仕様の660とステレオ仕様の670のモデリングが含まれています。どちらも、ただインサートするだけでも音像が大きくなり、まとまりのいいサウンドになるので、ミックスダウンの際に各パートのバスにかけたり、マスターに挿すのもオススメです。特に、少し出っぱった感じのあるストリングスやギターのトラックにインサートすれば効果テキメン。ミックスをうまくまとめたい時に使ってみてください。

apollo twinイメージ


ハードにかける時の設定例

▲ハードにかける時の設定例。インプットを上げてからスレッショルドを調整する。インプットは全開、リカバリータイムは遅めにする

ヘッドルーム&バイアスをコントロール

▲HR(ヘッドルームコントロール)でインプットゲインを調整し、BAL(バランス)でバイアスをコントロールしてアタックのキャラクターを決める(左画面)。右下のDCスレッショルドでコンプ効果のキャラクターを変えられるので、感覚で触ってみるといい(右画面)


ドライ/ウェットツマミ

▲UAD版では実機にはないドライ/ウェットのバランスを決めるツマミがある。例えばベースに対してハードなコンプとディストーションをかけつつ、ドライ信号と混ぜ合わせることで非常に太いサウンドを生み出せる

信号をセンターとサイドに分けて処理

▲670でAGCを「LAT/VERT」(MS)にすると、信号をセンターとサイドに分けて処理することができる。この時もドライ/ウェットやサイドチェインフィルターを使うことができるので、非常に直感的な音作りが可能だ

670実機

▲今回は、日本とフィリピンで活躍中のミュージシャン/プロデューサーである、石川晃次氏の所有する670とUADの音を比較することができた。実機の現在の価値は50,000ドルとも言われ、恐らく日本でも実用に耐える個体は数えられるほどだと思われる。おびただしい数のトランスが搭載されているが、なんとUADはこのトランスの特性も再現。筆者は、このトランスが広がり感のある高域や音像の大きさに深く関与していると確信している


UADソフトウェア8.0がついに公開!

 バージョン8では、ドライバとConsoleソフトウェア(1)が刷新され、Apolloシリーズを最大4台まで接続して、あたかも1台のオーディオインターフェイスのように使えるようになった。 また、新たなプラグインとして、エレアコの音をスタジオでマイク録音したような音質にできる「Sound Machi ne Wood Wor ks」(2)、3種の歪みエフェクターによる「UA DistortionEssentials」(3/4/5)、カスタマイズエンジニアのデヴィッド・フリードマンが作ったギターアンプをプラグイン化した「Friedman Amplifier」(6)、リアルタイムにピッチ修正が可能な「AntaresAuto-Tune Live」(7)が追加された。

UADソフトウェア8.0追加プラグイン