トップページ > マイク録音関連の機材を開発する総合ブランド | 「Seide」の主力製品をエンジニアが徹底試奏!

seideロゴ


優れたマイクを手頃な価格で発売していることで知られているドイツの有名マイクブランド「ザイド」。編集部では、数あるラインナップの中から「PC-VT2000」、「PC-ME」、「Pro-38S」という3モデルに注目し、それぞれの音質を、マイク録音に役立つ同社の周辺機器と共に、エンジニアの篠崎恭一氏に試奏してもらいました。
試奏:篠崎恭一 写真:小貝和夫



「ザイド」の歴史

 今でこそ手頃な価格のコンデンサーマイクが多く発売されていますが、パソコンでのレコーディングがアマチュアにも浸透し始めた90年代後半頃は、コンデンサーマイクはどれも高価で、アマチュアにはなかなか手の出せないアイテムでした。
 当時の状況に疑問を感じ、多くのレコーディング愛好家に高音質なコンデンサーマイクを適切な価格で提供するということを目指したマイクブランドがザイドです。「Seide」とはドイツ語で絹を意味しており、同社の製品はシルクのような滑らかなサウンドが特徴となっています。
 1998年には同社のコンデンサーマイクの第1号機「PC-M1」を発表。翌1999年には真空管内蔵コンデンサーマイク「PC-VT1」を発売し、プロアマを問わず絶賛されたこのマイクのキャラクターは、代表モデル「PC-VT2000」などに引き継がれつつ、進化を遂げています。
 なお、現在ではマイク録音の周辺機器の開発にも力を入れており、エンジニアから宅録ユーザー、さらにはニコニコ動画の「歌い手」ユーザーにまで幅広く愛用されています。




篠崎恭一 今回試奏を担当してくれたエンジニアの篠崎恭一氏



プロレベルの音質で録れる真空管コンデンサーマイク

PC-VT2000
(チューブ・コンデンサーマイク)
¥78,000


 今回は、MOTUの828mk3というオーディオインターフェイスに内蔵されているマイクプリを使い、Pro Toolsに録音する形で試奏を行ないました。
 まずはチューブ・コンデンサーマイクのPC-VT2000からチェックしてみました。付属の電源のスイッチを入れ、しばらく真空管を暖めてから実際にボーカルとアコギを録音してみました。結論から言うと、本機は非常に素晴らしいマイクです。
 今回は男性ボーカルで試したのですが、暖かみのあるふくよかな印象で、どこか懐かしさを感じさせる優しいサウンドで収音できました。決してヌケが悪いとか、高音が録れていないという意味ではなく、広いレンジを保ちつつも温もりのある質感で、非常に音楽的な印象を受けます。
 それはアコギの収録でも同様で、フレットと弦がぶつかるような細かいニュアンスもしっかりと拾いつつ、ボディの豊かな鳴りを録ることができました。暖かみのあるサウンドが録れるので、生楽器がメインの楽曲や、しっとりしたバラードの収録にもオススメです。
 また、ドラムのアンビエンスやパーカッション、ブラス系の録音でも、その暖かいサウンドが効果を発揮してくれると思います。

専用電源のPC-VT2000-PSが付属しており、マイクに安定した電力を供給することができる(写真上)。他にもハードケースとショックマウント、専用マイクケーブルなどが付属している



PC-VT2000:SPEC

●タイプ:コンデンサー
●指向性:単一指向性
●周波数特性:20Hz〜20kHz
●最大音圧レベル:135dB
●感度:−16mV/Pa(−36dB)
●外形寸法:直径48mm、長さ220mm
●重量:680g
●付属品:専用ハードケース、専用電源、ショックマウント・アダプター、専用マイクケーブル、電源ケーブル

その他のザイドのコンデンサーマイク


PC-X1
オープンプライス(¥16,952前後)

 大型のダイアフラムを持ち、30Hz〜1.8kHzという周波数特性により、ナチュラルな音色で収音できるコンデンサーマイク。ローカットスイッチやパッドスイッチを搭載し、ボーカルはもちろん、アコギやピアノ、ドラムなどの収録に幅広く対応してくれる。


BE-1+
オープンプライス(¥9,524前後)

 スタジオクオリティのサウンドを持ちつつも、エントリーユーザーにも扱いやすいコンデンサーマイク。パソコンでのデジタルレコーディングに最適なローノイズ設計で、レンジの広いバランスの取れたサウンドにより、宅録でもハイグレードな録音が楽しめる。


自宅で高音質でボーカルを録るのに最適な組み合わせ

PC-ME
(コンデンサーマイク)
¥78,000

REF-1
(リフレクションフィルター)
オープンプライス
(¥8,300前後)

MPF-1
(ポップガード)
¥4,500


 まずは、外箱の小ささに驚きました。PC-MEをいざ取り出してみると、やはり非常にコンパクトです。ショックマウントは滑り止めの付いたクリップ形式で、多少クリップ部分が固い印象も受けますが、レコーディング中にズレたり、大事なマイクが落ちてしまうなどの事故を防ぐためには、これくらいの方が安心できます。
 録音したサウンドは非常にブライトで、高域がよく伸びる印象を受けました。テクノなどの打ち込み系のトラックに混ぜるボーカルや、ドラムのトップマイクなどに向いている質感です。また、非常に聴き取りやすい音質で録音できるので、ナレーション用にも向いているマイクだと思いました。
 MPF-1は非常に優れたポップガードで、狙った位置でしっかりと止まってくれて、録音中に下がってくることもまったくありません。また、マイクがない状態で思い切り息を吹きかけてみましたが、反対側ではかすかに風を感じる程度でした。
 REF-1は外部からの音の回り込みを防ぐのに有効で、宅録の大敵である家電製品のファンノイズなども実際に軽減してくれました。サイズが小さいところも、宅録に向いていると思います。

PC-MEとRFE-1はどちらもサイズがコンパクトなので、狭いスペースでも設置できるのが魅力だ


ポップガードのMPF-1は布製で、ポップノイズなどがマイクに入るのを防いでくれる(手前)。リフレクションフィルターのREF-1は、壁などからの余計な反射音がマイクに入るのを防ぐアイテムだ

PC-MEは右上写真のピュアホワイト以外にブラックのモデルもリリースされている


PC-ME:SPEC

●タイプ:コンデンサー
●指向性:単一指向性
●周波数特性:30Hz〜2kHz
●最大音圧レベル:135dB
●感度:−16mV/Pa(−34dB)
●外形寸法:直径44mm、長さ153mm
●重量:380g
●カラー:ピュアホワイト、ブラック


ドラムなどのステレオ収音に便利なマウントバー

Pro-38S
(ダイナミックマイク)
¥4,300(1本)

STB-1
(ステレオマウントバー)
¥3,000


 Pro-38Sは「声」を録るのに非常に適したマイクですね。
 聴き取りやすいスッキリとしたサウンドで、ボーカリストが表現する細かいニュアンスまでしっかりと拾ってくれます。ウィスパーボイスから喉をしぼったシャウトまで幅広い歌唱スタイルに対応できるうえに、XLRのマイクケーブルまで付属しているので、宅録を始めるにあたって最初の1本としてもオススメです。
 狭めに設定された指向性は、ライブステージ上での使用にも最適で、ハウリングや他の楽器のサウンドの被りを軽減してくれる効果が期待できます。
 一緒に使わせていただいたステレオマイクバーは、録音の幅を広げてくれるとても便利なアイテムです。例えば、ドラムのトップや、左右に広がった複数人によるコーラスの録音以外に、環境音の収録時にも威力を発揮しそうです。
 また、2本のマイクを完全に左右に広げきってセッティングしてみたところ、擬似的にバイノーラルマイク(※)を使った録音を再現することもできました。
 様々な使い方ができるステレオマイクバーは、レコーディングのクオリティアップに必ずひと役買ってくれると思います。


※バイノーラルマイク:人間の頭を模したパーツの耳の部分にマイクを埋め込んだマイクのことで、実際に両耳で聴いているような非常にリアルなステレオの立体感を得ることができる。ノイマンのKU-100などが有名


Pro-38S:SPEC

●タイプ:ダイナミック
●指向性:単一指向性
●周波数特性:50Hz〜16kHz
●最大音圧レベル:140dB
●感度:−52dB ± 3dB(@1kHz)
●外形寸法:直径50.6mm、長さ164.2mm
●重量:283g
●付属品:マイククリップ、マイクケース、3/8 変換ネジ、マイクケーブル(XLR/5m)

※この特集で使用しているマイクスタンドは、トリップロップのMS-09です。

実際にSTB-1に2本のPro-38Sを装着したところ。ドラムやピアノなどの楽器以外に、ライブハウスでのバンドのステレオ収録でも重宝する


マイクホルダーをつなげる2つのネジの間隔は170mmで、マイクを装着後も角度を調整することができる


Pro-38Sはボーカル向けのステージマイクとして最適なダイナミックマイクだ。本体にはノイズを軽減するローノイズ・スイッチを搭載している



問い合わせ先:イースペック(株)
TEL:06-6636-0372 
http://e-spec.co.jp