トップページ > Blackstar HT PEDALシリーズ|HT DELAY/HT MODULATION/HT REVERB

(※)表記されている価格は2014年3月31日以前のものです   

ギターのライン録音で威力を発揮する真空管搭載コンパクトエフェクター Blackstar HT PEDALシリーズ

300Vの超高電圧で駆動する真空管回路と最新のデジタル技術を融合させ、アンプで鳴らした質感とデジタルならではのクリーンさを兼ね備えたモデルとして人気の、ブラックスター「HT PEDALシリーズ」。今回は、無機質になりがちなライン録音で真空管特有のサチュレーション機能がどう付加されるのか 、その実力に迫ってみた!

ブラックスターは、マーシャル社で長年アンプの設計にたずさわっていた5人のエンジニアが2004年に設立したイギリスのアンプメーカーで、アンプのライン出力にスピーカーイミュレート・アウトをいち早く導入するなど、真空管アンプのラインレコーディングに新しい技術を盛り込んできた新進のメーカーだ。
そのブラックスターが、アンプと歪み系エフェクターに次いで製品ラインナップに加えたのが、今回紹介する「HT DELAY」、「HT MODULATION」、「HT REVERB」という3種類のデジタル空間系エフェクターだ。どのモデルも300Vの超高電圧駆動の真空管回路を搭載し、デジタルのエフェクトと真空管アンプの技術を融合させた、アンプメーカーならではの発想で設計されたモデルとなっている。
本体に搭載されている真空管は、ギターアンプのプリ管として使用されることの多い「ECC83(12AX7)」で、この真空管のドライブ状態を調整する「SATURATION(サチュレーション)コントロール」との組み合わせにより、コンパクトタイプのエフェクターを使ってライン録音した時に問題になる音の細さを解消し、「音圧感」や「音が前に出る」といった効果を生み出してくれる。まさに、ライン録音派のためのエフェクターと言ってもいいかもしれない。
基本はギター用のエフェクトなのでインプットはモノラル仕様だが、アウトプットがステレオ仕様になっており、空間系ならではの広がり感を活かしたギターサウンドをステレオで録音することが可能だ。
また、どのエフェクトも名器と呼ばれるエフェクターを最新のデジタル技術で徹底的に解析したうえでシミュレーションを行ない、真空管サウンドと組み合わせた時に 最適な状態で効果が得られるようにチューンナップされている。

それでは、さっそく3機種のサウンドの魅力に迫っていこう
今回の試奏では、あらかじめ何のエフェクトもかけずに録音したDAWソフトのギタートラックのサウンドを、HTシリーズに入力してチェックした。

●ミックス時の後がけのセッティング

図上は、今回試奏した際のミックス時の後がけのセッティング。図右は、ギターの音にかけ録りする際のライン録音時のセッティング

●通常のライン録音時のセッティング

まず、HT MODULATIONでサチュレーション効果を試してみたが、いわゆるSSLなどのコンソールに通じる、 柔らかく耳あたりのいいコンプ感と軽い歪みを得ることができた。サチュレーションのツマミを上げていくと、モジュレーションの効果がさらに前に出てきて、プラグインのエフェクトとはまったく異なる、立体感のあるサウンドに仕上げることができる。ちなみに、シンセの軽くドライブしたオルガンサウンドでも試してみたが、サチュレーションツマミを上げていくと、歪みによって得られる倍音が強調され、音の厚みがありながらも、音に繊細な広がりが出てきた。エフェクト効果だけでなく、原音を強調したい時にも使える機能だと感じた。
次に各モデルごとのエフェクトの質感を試してみた。HT DELAYは、サチュレーションツマミによる歪みの調整でテープエコーのアナログ感を調整できるので、ギターやドラムだけでなく、曲全体にかけることで、ダブ的なミックスにも十分に使えそうだ。HT REVERBでは、サチュレーションツマミと同様の働きをするデュウェルツマミで、同じリバーブサウンドでも質感の異なる残響に仕上げることができた。そして、HT MODULATIONでは、サチュレーションツマミを上げると、たんにかかりが良くなるだけでなく、クラシカルなアナログの湿り具合と、余分な成分のないスッキリとしたサウンドになり、歪み系のサウンドでより威力を発揮すると感じた。それでは、各モデルごとに、真空管=サチュレーション機能を効果的に活かした、ミックスで使えるサウンドを紹介していこう。

真空管の質感をコントロールするSATURATION/DWELLコントロール

 今回紹介しているHT PEDALシリーズの最大の特徴が、高電圧の真空管回路のドライブ状態(具合)を調整することができる「SATURATIONコントロール(HT DELAY、HT MODULATION)と「DWEELコントロール」(HT REVERB)だ。どちらのコントロールも、ツマミが0に近い状態では効果はフラットで(LEDは緑に点灯)、ノブを右に回すにつれて真空管回路内が飽和(サチュレーション)状態になり(LEDがオレンジ)、そして最大飽和状態でLEDが赤へと変化し、コンプレッションとハーモニクスの密度がより高くなって、真空管ならではのリッチな効果が生まれる。
 ただ、本シリーズの真空管の質感は、オーバードライブなどの歪み系エフェクターとは違い、チューブプリアンプの真空管のように、音質や音量を調整する機能と考えた方がいいだろう。

HT DELAYとHT MODULATIONに装備されているSATURATIONコントロール

HT REVERBに装備されているDWELLコントロール

全てのモデルにECC83(12AX7)真空管を搭載

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製品概要

デジタルならではのクリアでハイファイなディレイから暖かみのあるアナログディレイまで、8種類のディレイモードを装備した多彩なディレイペダル。中でも、4種類の異なるモードを搭載したテープエコー・サウンドは、SATURATIONコントロールによる真空管ならではのコンプレッション感と倍音が加わることで、往年のビンテージエコーの質感を忠実に再現してくれる。また、音を次々と重ねていくサウンド・オン・サウンドを楽しむことも可能だ。

搭載エフェクトモード

  • ●LINEAR=全体域をカバーするデジタルならではのハイファイなディレイ
  • ●ANALOGUE=ビンテージ・アナログタイプやBBD方式のディレイを再現
  • ●MULTIHEAD1=マルチヘッドのテープエコーを元にしたスタンダードなエコー
  • ●MULTIHEAD2=マルチヘッドのテープエコーをリズミックに使った時のエコー
  • ●TAPE=テープスピードの揺らぎ感を再現したビンテージ系のテープエコー・サウンド
  • ●SPACE=複雑なビンテージ系のテープエコー・サウンド
  • ●LOOP1=ワンショットのループディレイ
  • ●LOOP2=サウンド・オン・サウンドが可能なループディレイ

スペック

●コントロール:エフェクトモード・セレクト、タイム、フィードバック、サチュレーション、レベル ●入出力端子:インプット、アウトプット(L/MONO、R) ●外形寸法:160(W)× 119(D)×80(H)mm ●重量:1.3kg

試奏チェック

HT DELAYには、8種類のエフェクトモードが用意されているが、ミックスで使う際にオススメなのが、ビンテージタイプのテープエコー・サウンドだ。
テープエコーには4種類のモードがあり、すべて異なる質感を持っている。「MULTIHEAD」の1と2は、丸みがありながらもクリアな質感で、「TAPE」と「SPACE」はいわゆるテープのルーズ感を全面に出した音色だ。実際に色々な楽器の音で試してみたが、サチュレーションのツマミを上げていくと、テープのたるみや独特のノイズ感がより濃くなり、プラグインにはないレトロな音質がリアルに再現されたのが非常に印象的だ。この他、ハイファイタイプのディレイが鳴らせるモードの「LINEAR」は、クリアで透明度が高く、ミスチルのようなJ-POPサウンドにマッチする。また、アナログとデジタルの中間ともいえる「ANALOGUE」は、クリアながら湿り気があり、残響音が実音を追っかけていくようなU2のエッジでおなじみの付点8分のディレイサウンドも簡単に作ることができた。
このように、HT DELAYはコンパクトタイプながら、クリアなJ-POPサウンドから、80年代のニューウェーブ的なミックス、さらにはアナログの質感が重視されるダブ的な音まで作れる魅力的なモデルだ。

HT DELAYの便利機能

ディレイタイムは、「TIME」ツマミを使ってマニュアルで調整する以外に、右側の「TAP/LOOP」ペダルスイッチで曲のテンポにあわせてディレイタイムを感覚的に設定することもできる。プレイ中にディレイタイムを変えたい 時に便利な機能だ。
また、「TAP/LOOP」ペダルスイッチではループサンプリングも可能で、エフェクトモードを「LOOP1」にすれば、いわゆるフレーズサンプリングが行なえ、「LOOP2」にすると、最近人気のエフェクター「ルーパー」のようなSound on Soundができる。1人でフレーズをドンドン重ねていってセッションパフォーマンスも簡単に行なえるのだ。

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製品概要

12弦ギターのような響きが得られるスタンダードなコーラスから、LFOの変調と真空管特有のハーモニクス(倍音)を活かしたビンテージシンセのようなウネリまで、実戦ですぐに使えるモジュレーションサウンドを満載。本体のSPEEDツマミでフェイザーやフランジャーなどの揺らぎのスピードをリアルタイムで調整できる。また、このスピードはツマミで調整できる他、本体右側のモードスイッチ・ペダルでファストとスローの2種類に切り替えることができる。

搭載エフェクトモード

  • ●FLANGER=ビンテージスタイルのフランジャー
  • ●PHASER1=ウォームなビンテージサウンドを生む4ステージのフェイザー
  • ●PHASER2=エッジの効いた8ステージのフェイザー
  • ●VINTAGE CHORUS1=シングルLFOのビンテージ系のコーラス
  • ●VINTAGE CHORUS2=2つのLFOによる自然なビンテージ系のコーラス
  • ●MULTI CHORUS=120度位相を変えた3つのLFOをミックスしたサウンド
  • ●TREMOLO=ナチュラルなトレモロ。ステレオ時はオートパン効果も生み出す
  • ●ROTARY=ビンテージ系のロータリーサウンド

スペック

●コントロール:エフェクトモード・セレクト、スピード、フィードバック、サチュレーション、レベル ●入出力端子:インプット、アウトプット(L/MONO、R) ●外形寸法:160(W) ×119(D)×80(H)mm ●重量:1.3kg

試奏チェック

HT MODULATIONは、他の2モデルと異なり、サチュレーション効果を付加していくと、デジタルのハイファイな尖った感じがビンテージテイストになっていくだけでなく、フランジャーやフェイザー、コーラス、トレモロといったモジュレーションエフェクトの効果そのものが強調されていく感じになるのが特徴だ。
「FLANGER」や「PHASER」といったエフェクトモードでは、ウネリや揺れが強くなるだけでなく音像の輪郭も強調されるので、地味なカッティングプレイも、とてもインパクトのあるフレーズになってくれた。コーラス系のエフェクトモード「VINTAGE CHORUS1」、「VINTAGE CHORUS2」、「MULTI CHORUS」では、コーラス効果の広がりにツヤとキラキラ感が加わり、パット・メセニーやジョン・スコフィールドなどのフュージョン系のサウンドにマッチする、透明感あふれるサウンドに仕上げることが可能だ。また、「TREMOLO」を使ってギターをかけ録りしてみると、高級ケーブルにつないでも、これほど前に出る音像にはならないくらいの迫力とヌケが得られた。サチュレーション機能の搭載が本当に大きなポイントになっているんだと感じさせるモードだ。もちろん、こうした音質の良さは、基本のデジタルエフェクトが優れているからに他ならない。

HT DELAYの便利機能

右側のフットスイッチはエフェクトモードの切り替えだけでなく、SLOW/FASTという揺れのスピードコントロールも行なえる。トレモロなどは、曲の途中で揺れの早さを切り替えたりする場合も多いので、ギタリストにとっては非 常に便利な機能だ。
また、HT MODULATIONは、サチュレーションのツマミを上げるほど、エフェクト効果も前に出てくるので、歪み系のエフェクターと併せて使う場合にはあまり上げ過ぎない方がいいだろう。楽器音を活かしたサウンドにしたい時などは、サチュレーションのツマミを10時程度にしておき、歪みも軽めにすると心地良いモジュレーション効果が楽しめる。

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製品概要

代表的なビンテージリバーブを徹底的に研究し、ルームからゲートまで、厳選した8種類のリバーブを搭載したモデル。真空管のドライブ具合を調整できるDWELLコントロールによって、チューブリバーブだけが持つダイナミクスとハーモニクスを再現することができる。また、この機能をうまく使うと、一種ローファイなサウンドを作りたい時などにも強力な武器になる。リバーブタイムをペダルスイッチでコントロールできるモードスイッチ(本体右側のスイッチ)を装備し、ショートとロングの2種類のリバーブを瞬時に切り換えることが可能だ。

搭載エフェクトモード

  • ●ROOM=ナチュラルなルームリバーブ
  • ●HALL=長い残響音が特徴のホールリバーブ
  • ●BRIGHT=明るくきらびやかなホールリバーブ
  • ●PLATE=金属反射板の残響音を元にしたプレートリバーブ
  • ●SPRING=バルブ式のビンテージ・スプリングリバーブを再現したサウンド
  • ●ARENA=巨大なホールの残響音を再現できるホールリバーブ
  • ●REVERSE=ギタリストのピッキングに対応したリバースリバーブ
  • ●GATE=ギタリストのピッキングに対応したゲートリバーブ

スペック

●コントロール:エフェクトモード・セレクト、タイム、トーン、デュウェル、レベル ●入出力端子:インプット、アウトプット(L/MONO、R) ●外形寸法:160(W)×119(D)×80(H) mm ●重量:1.3kg

試奏チェック

HT REVERBには、デジタルならではの透明度の高いリバーブエフェクトのモードが6種類用意されている。こうしたモードの中でも、今回の試奏で特に気に入ったプリセットが「SPRING」だ。これはスプリングならではの揺れのある乾いた質感が特徴のモードで、デュウェルツマミ(サチュレーションと同じ働きをする)を調整していくと、プレスリー的なビンテージ感を全面に出した音色から、ベンチャーズ的なヌケの良いサーフィンスタイルまで、まさにスプリングが揺れるギタ ーサウンドがいとも簡単に作れた。また、「BRIGHT HALL」も秀逸なサウンドで、とてもキメの細かいキラキラしたホ−ルリバーブがかかる。ギターだけでなくボーカルにもぜひ使ってみてほしいエフェクトモードだ。そして、「HALL」や「ROOM」、「ARENA」といったミックスで一番よく使うリバーブは、デュウェルツマミを上げると、空間の壁の質感が変化していくようなイメージを作ることができる。同じタイプのリバーブでも、デュウェルツマミで様々な質感の反響を生み出せる のだ。この他、逆回転サウンドを作れる「REVERSE」や、音の余韻を切ったり伸ばしたりといった調整ができる「GATE」も、曲にアクセントを付けたい時の飛び道具として使っても面白い。

HT DELAYの便利機能

HT REVERBには、80年代に流行ったゲートリバーブも装備されている。インプットに接続した楽器演奏の強弱に合わせて余韻を調整することができるので、フレーズに合わせてサスティンを「バシッ!」っと切ってしまう効果も簡単に得られる。また、一般的にプレートリバーブは、プレート(鉄板)の反射音による残響効果なので、コンプを強めると空間自体が硬くなっていく傾向があるが、 HT REVERBの場合、サチュレーションで残響を飽和させることができるので、プレートタイプでありながら、音圧を前に出しつつも決して硬くなり過ぎない、自然な反射効果が得られる。