トップページ > マイクカプセルを交換して最適な音で録音できる6chハンディレコーダー

(※)表記されている価格は2014年3月31日以前のものです   

マイクカプセルを交換して最適な音で録音できる6chハンディレコーダー「H6」

ズームから、一眼レフカメラのレンズのように、録音するシーンに合わせて最適なマイクを選べる、新発想のレコーダー「H6」が発売された。オプションのマイクも含めて実際にバンド演奏を録音して、その実力を検証してみた。

SPEC
●記録メディア:SDカード、SDHCカード、SDXCカード(最大128GBまで対応)●入出力端子:インプット(XLR/TRSコンボ)×4、ラインアウト(ステレオミニ)ヘッドホン(ステレオミニ)、リモート端子、USB ●記録フォーマット:WAV=最大24ビット/96kHz、MP3=最大320kbps/44.1kHz ●最大同時録音トラック数:WAV=8(6トラック+バックアップ録音時)、MP3=2 ●オーディオインターフェイス機能:マルチトラックモード=6イン/2アウト、最大24ビット/96kHz、ステレオモード=2イン/2アウト、最大16ビット/48kHz、iPad対応(カメラコネクションキットが別途必要) ●録音時間(2GBカード使用時):WAV 16ビット/44.1kHz時=3時間8分、MP3 128kbps時=34時間43分 ●電源:単三乾電池4本、ACアダプター(別売)、USBバスパワー ●外形寸法:本体: 77.8(W)× 152.8(D)× 47.8(H)mm ●重量:本体=280g(電池含まず)、XYマイクカプセル=130g、MSマイクカプセル=85g ●付属品:2GB SDカード、単三乾電池4本、Cubase LE、本体ケース、ウィンドスクリーン、USB ケーブル ●付属マイク:XYマイク (XYH-6)=単一指向性、MSマイク(MSH-6)=単一指向性&双指向性

ズームH6

お問い合せ

ひと口にマイクで録音すると言っても、ピアノやアコギといった単体の楽器の録音もあれば、バンドの一発録りやライブ録音、さらには自然の環境音や鳥の声、鉄道の音など、それぞれの環境に合ったマイク録音の手法が求められる。「H6」は、こうした様々なシチュエーションに応じて、マイクカプセル部を交換することで、1台ですべてに対応した新しい発想のハンディレコーダーだ。

本体には、XY方式とMS方式の2つのカプセルが付属されており、この2つだけでもほとんどの録音環境に対応できるが、超指向性の「ショットガンマイク」と、入力系統をさらに2つ増設できる「XLR/TRSコンボカプセル」がオプションとして用意されており、これらを含めるとレコーディングで考えられるほとんどの録音手法が可能になる。

また、本機は最大同時6トラックの録音が行なえ、マイク(ステレオ)と4系統のインプット端子からの音を同時に録音することができる。大型のカラーディスプレイと本体のミキサー機能により、本機だけで自由にミックス作業が行なえるのも魅力だ。

さらに、アウトプットはステレオのラインアウトとヘッドホン端子を別々に装備しているので、ヘッドホンでモニターしながら外部機器に音を送ることもできる。なお、USBオーディオインターフェイス機能も装備しているので、パソコン(DAWソフト)へのレコーディングもこれ1台で可能だ。

H6は、最大6チャンネルの同時録音が可能だ。音量やEQなどの調整も大型カラーディスプレイで細かく行なえるので、本機だけで本格的な多重録音が楽しめる

インプットは、ボディの左右に4つのコンボ端子を装備している。付属マイクのステレオ録音と、この4つのインプットからのライン信号を同時に使用可能だ

本機には、XY方式とMS方式の2種類のマイクカプセルが標準で付属されている。基本的にはこの2種類のマイクでほとんどの録音のシチュエーションをカバーできる

マイクカプセルは、カプセル部の左右にあるボタンを押しながら本体と着脱する。装着感は非常にしっかりしているので、けっしてグラつくようなことはない

H6には、いい音で録音するための便利なお助け機能が搭載されている。例えば、写真の「バックアップ録音」は、オリジナルファイルとは別に、常に12dB低いレベルで同時にバックアップ録音を行なってくれるという機能だ。もし録音レベルがオーバーして歪んでしまっても、オリジナルファイルをこのバックアップファイルに差し替えれば、歪みのないクリアなサウンドを簡単に手に入れることができる

H6の4つのカプセルの使い方をエンジニアが徹底解説!

カプセル1 XYマイク

大口径のダイヤフラムを搭載し自然なステレオ感でライブやスタジオでのバンド1発録音ができる

H6のXYマイクは、マイクのヘッド部を回転させることで90度と120度の2種類の角度に変えることができる、アイディアもののカプセルです。90度の設定では、バンドに対して垂直に本機をセットしただけで自然な広がりのあるステレオ感が得られました。120度にするとさらに音がワイドになり、奥行きのあるステレオ感を実感できます。それと、XY方式にありがちな中心部の音像の弱さを感じさせないのもいいですね。

リハスタでバンド演奏を一発録音したい時や、比較的小さなスペースでのライブ録音には打ってつけのマイクです。リハスタでバンドの一発録音する時には、ボーカルなどのセンターの位置で聴かせたい音をPAスピーカーでしっかりと出しておくと、ステレオ感があり、かつ芯のあるサウンドで収録できます

XYマイクとは

XY方式のマイク録音は、2本のマイクのダイヤフラム部をクロスさせてセッティングする録音手法で、プロの現場ではバンドの一発録音やドラムのステレオ録音などでよく使われるテクニックです。しかし、2本のマイクのペアリングやクロスのさせ方を厳密に行なわないと、位相(音が変化する周期)がズレたり中心部の音が弱くなったりと、きれいにステレオ感を出すことが難しいという面もあります。

カプセル2 MSマイク

芯のある正面の音をクリアに捕えつつきれいに広がるステレオ感を同時に録音できる

双指向性のマイクと単一指向性のマイクを組み合わせるという、本来は面倒で難しいMS(Mid-Side)方式も、標準で付属してくるMSマイクのカプセルを使うだけでできるのには驚きました(本機はマトリックボックスという機器は必要ありません)。今回の試奏でも、ボーカルは芯のあるしっかりとした音でセンターに存在し、バンドのサウンドは左右にきれいに広がるステレオ感が得られました。

また、このカプセルのいいところは、MS-RAWモードで収録しておけば、後からステレオの幅を変えられるという点で、調整の幅はかなりあります。

大きなホールのライブや、野外の自然の音など、録りたい音源の中心に向けるだけで、その中心の音と自然なステレオ感をバランス良く同時に録れるマイクです。

MSマイクとは

MS方式のマイク録音は、右写真のように正面だけの音を捕える単一指向性のマイク(Mid)と、左右の音を狙う双指向性のマイク(Side)を90度方向を変えて組み合わせた手法で、左右のステレオ感の広がりと同時に、正面の音もクリアに収音することができます。ただし、2つの信号をミックスするためには、「マトリックスボックス」と呼ばれる専用の装置が必要で、アマチュアが簡単に行なえる録音法ではありませんでした。ちなみに、マイクメーカーからは高価な専用MSマイクも発売されています。

カプセル3 ショットガンマイク

狙った音だけをピンポイントで録音できる超指向性マイク

このショットガンマイク・カプセルをH6にセットすると、H6本体でDSP処理を行ない、実際のマイクの長さ以上にショットガンマイクの特性(超指向性)を活かせるように設計されているので、狙った音だけをしっかりと収録することができました。

例えば街頭でのインタビューを録音したい時や、マイクが映り込むと困る映像作品の撮影の際などに、遠くから狙って録っても、芯のある聴き取りやすいクリアな音声で収録することができるのが、このマイクカプセルの特徴です。

ショットガンマイクとは

ショットガンマイクは「ガンマイク」とも呼ばれ、その名の通り細長い形状をしており、正面の狙ったところの音だけをピンポイントで収音することができる超指向性のマイクです。映画やテレビの収録で、雑踏の中で周りの音を遮断しつつ出演者の声だけを拾ったり、遠くでさえずっている野鳥の声をピンポイントで捕えるフィールドレコーディングなど、プロの現場では様々な使い方がされています。

カプセル4 XLR/TRSコンボ端子

最大6系統の機器を接続できる外部入力専用カプセル

このカプセルは、本体の4系統のインプットに加えて、さらに2系統のインプットが使えるようになる便利なカプセルです。

今回の試奏では6チャンネルの機能をフルに活用し、1chをベースアンプ、2chをギターアンプ、3chをキック、4chをドラムのオーバーヘッド、5chをコーラス、6chをメインボーカルという設定で外部マイクで同時にマルチ録音してみましたが、各チャンネルの音量バランスも個別のツマミで調整できるため、セッティングも簡単に行なえました。

録音後にスタジオでモニターしてみると、どのパートも予想以上にクリアで、レンジ感のあるしっかりとしたサウンドが収録できていました。ハンディレコーダーでありながらマルチ録音ができるのは、非常に便利ですね。ドラム用のマイクをミキサーでまとめてしまえば、さらに多くの機材を接続できます。

さらに、20?dBのパッドスイッチを装備しているので、ライブ録音の時などに、PAミキサーなどのプロ機器から+4?dBのライン出力の信号を直接受けられるのも便利ですね。

ボーカル/コーラス/ギター/ベース/ドラムトップ/キックドラムを6本マイクでH6にマルチ録音。各楽器ともにバランスよく収録できる

今回のマルチ録音のセッティング

活用法が広がるその他のオプション類

H6には、マイクカプセル以外にも、様々なオプションが用意されている。写真は、カメラのストロボのホットシューにH6を取り付けられるパーツ「HS-1」(1260円)を使って、ムービー機能を備えた一眼レフカメラをハイクオリティな動画撮影が可能なシステムに構築した例。この他にも、業務レベルの風防性能を誇るウィンドスクリーンやリモートコントローラー、USBタイプのACアダプターを同梱したアクセサリーパッケージ「APH-6」(6930円)も発売されている

今回の取材に協力してくれたバンド

Cuckoo(クーク)

普遍的なメロディと、おとぎ話のように紡がれる歌詞が特徴の唯一無二な世界を持つ3ピースバンド。幅広い音楽性による上質なポップスを奏で、近年はクラブ・ダンスシーンでのライブも精力的に行ないながら、「踊れる歌ものバンド」として新しい音楽を発信している。9月9日には、3rdミニアルバム『Spectrum 5』をリリース。

3rd Mini Album
『Spectrum 5』moonblan records
MOCL-0007/¥1,500

オフィシャルサイト

http://www.cuckooku-ku.com