トップページ > 「オープンエアー型」と「密閉型」を15本徹底視聴!音楽制作に最適なヘッドホン選び「オープンエアー編」

(※)表記されている価格は2014年3月31日以前のものです   

音楽制作に最適なヘッドホン選び「オープンエアー編」

オープンエアー型の7本を青木優氏がチェック!

青木優

青木 優(あおき すぐる)

アイトゥアイコミュニケーションズ所属。これまでに絢香やYUIなどの女性シンガーを中心に、生楽器を主体とするサウンドを数多く手掛けてきた。近年ではシンガーソングライター森 翼のアルバムや、石井竜也のライブアルバムのミックスなどに携わっている

今回の視聴方法

 今回は、現在主流となっている音楽を聴く環境をシミュレーションするために、CDをWAVファイルに変換してiTunesに取り込み、それをiPadで再生して、あえてiPadの出力アンプを通して試しました。これは、実際に僕がミックスをする時の最終チェックで行なっているやり方です。
 使用した音源は、ロック(バンドサウンド)、ハウス(打ち込み系)、クラシック(アコースティック)という、それぞれサウンドの傾向が異なる3つのジャンルの曲で、すべてのモデルでまったく同じ素材を再生しました。

密閉型の7本を鈴木“Daichi”秀行氏がチェック!

鈴木“Daichi”秀行

鈴木“Daichi”秀行(すずき ダイチ ひでゆき)

ギターやベース、キーボードなどを操るマルチプレイヤーとして活動する他、作曲やアレンジ、プロデュースなど、多岐に渡って才能を発揮しているクリエイター。モーニング娘。やYUI、mihimaru GT、SMAPといった大物アーティストの楽曲を手掛けている。

今回の視聴方法

 今回は、自分がプロデュースを手掛けた家入レオの『Message』と、普段からリファレンスCDにしているレニー・クラヴィッツの『ブラック・アンド・ホワイト・アメリカ』、それとカーリー・レイ・ジェプセンの『キス』というアルバムを、ソニーのCDプレイヤーで再生して試聴をしました。
 ヘッドホンアンプは使わずに、CDプレイヤーのヘッドホン端子に直接試奏機をつなげて、普段使っているソニーMDR-CD900STとビクターHA-MX10というヘッドホンと比較しながら音色を確認しています。

オープンエアー型:1

AKG K702オープンプライス(市場予想価格:¥38,000前後)

問:ヒビノ ヒビノプロオーディオセールス Div. http://proaudiosales.hibino.co.jp

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* それほど圧迫感はなく、頭にしっかりとフィットしてくれる
リズムのチェックやロック系のダビングに向いた音質

製品概要
リボン状のワイヤーを採用した独自の「フラットワイヤー・ボイスコイル」をドライバに内蔵し、微細な電気信号にも俊敏に反応することで、原音を忠実に再生することができるモデル。また、人間工学に基づいたデザインを採用し、装着するだけでヘッドバンドの長さを簡単に調整することができる機能も持っている。

SPEC
●周波数特性:10Hz〜39.8kHz ●感度:93dB SPL/mw(1kHz) ●最大入力レベル:200mW ●インピーダンス:62Ω ●ケーブル:3mストレート(片出し、着脱式) ●重量:235g(ケーブルを除く)

 本機は高域に特徴があって、ボーカルの子音が際立つ印象ですね。こういう傾向のモデルは打楽器のアタック感がよく見えるので、ビートがわかりやすいと思います。そういったリズムのチェックに向いていますが、ロック系の曲での楽器のダビングとかにも良さそうですね。それと、音圧感ではなく曲全体の音量感や、ピアノ、ベース、ボーカルがそれぞれどのように聴こえるかという、パート間のボリュームの判断がしやすいのも特徴です。  そういう意味で、モニター用としてはオールマイティに使えますね。ワイヤーフレームを採用しているので軽めですが、装着してみるときちんとした安定感があって、しっかりとモニタリングができました。

オープンエアー型:2

オーディオテクニカ ATH-AD900Xオープンプライス(市場予想価格:¥20,000前後)

問:(株)オーディオテクニカ http://www.audio-technica.co.jp

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* 軽めで装着感がソフトなので長時間使っていても疲れない
ボーカル中心の楽曲を作るのに適したヘッドホン

製品概要
53mmの大口径のドライバによる開放感のあるクリアなサウンドを再生できるヘッドホン。強度と軽量化を両立させたアルミ製のハウジングを採用したことにより、空気の流れがスムーズになり、美しい余韻が奏でられる。なお、低域の漏れの防止と快適な装着感を実現する、起毛素材を使ったイヤーパッドを採用している。

SPEC
●周波数特性:5Hz〜35kHz ●感度:100dB/mW ●最大入力レベル:1000mW ●インピーダンス:38Ω ●ケーブル:3mストレート(片出し) ●重量:265g(ケーブルを除く)

 このモデルは中域がとてもわかりやすくて、ボーカルの音像がとても聴きやすかったですね。ギターやピアノとかのコードを弾く楽器とボーカルとのバランスがつかみやすいので、曲の中でコード感を強調したい時にも、歌との絡みがうまく作れると思います。なので、シンプルな弾き語りのミックスにも向いているのではないでしょうか。あと、EQの調整もやりやすそうなので、原音を補正する時に使うといいですね。  サウンドは全体的に中高域寄りの特性で、高域の伸びはそれほどありませんが、ハイエンドはきちんと出ているので、レンジ感は広く感じます。特にボーカルを中心とした楽曲を作るのに適したヘッドホンというイメージを受けました。

オープンエアー型:3

ベイヤーダイナミック Custom One Proオープンプライス(市場予想価格:¥24,800前後)

問:ティアック(株) http://tascam.jp

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* 耳を下から優しく支えるような独特な装着感を持っている
密閉型に変更ができる低音が気持ちいいモデル

製品概要
オープンエアー型から密閉型まで4段階で変更ができるユニークな機構を搭載した、ドイツの自社工場にてハンドメイドで製造されているモデル。極薄のダイヤフラムを採用した新開発のドライバをハウジング内部に搭載し、複雑な音も正確に表現することができる。なお、ケーブルが着脱式になっているのも特徴だ。

SPEC
●周波数特性:5Hz〜35kHz ●感度:96dB ●最大入力レベル:100mW ●インピーダンス:16Ω ●ケーブル:1.5mストレート(片出し、着脱式) ●重量:290g(ケーブルを除く) ※密閉型から開放型へ4段階で変更可能

 このモデルの最大の特徴は、オープンエアー型から密閉型に4段階で調整できるスライダーが付いている点ですね。これによって、低音の聴こえ方を変えられるんですよ。単純に好みで調整してもいいんですけど、低音は体調によっても聴こえ方が変わる帯域なので、制作時に自分の耳のコンディションに合わせて調整するのもありだと思います。  音的には、やはり重低音の輪郭がつかみやすくて、低域のフレーズがよくわかりますね。特に中低域で鳴っているベースのサスティンの強弱が判断しやすくて、自然とラインが見えました。低音が気持ち良く聴こえて、しかもそれが自然なので、クラブ系のクリエイターやベーシストにはたまらない音だと思います。

オープンエアー型:4

グラード SR325is¥49,560

問:オンズ(株) http://www.onzu.co.jp

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* 耳だけを覆うようなナチュラルな感触で、装着感は快適だ
奥行き感や分離感がよく見える自然なサウンド

製品概要
50年以上の歴史を持つハイエンド・オーディオブランド、グラドを代表する「Prestageシリーズ」のフラッグシップモデル。低域から高域まで自然な周波数帯域を再生することができ、バランスのいい定位感はミックスで使うのにも最適だ。耳に自然にフィットするイヤーパッドを採用し、長時間の作業でも疲れない。

SPEC
●周波数特性:18Hz〜24kHz ●感度:98dB ●最大入力レベル:非公開 ●インピーダンス:32Ω ●ケーブル:1.7mストレート(両出し) ●重量:230g(ケーブルを除く)

 本機は音の奥行き感が素晴らしくて分離感もいいので、空間が作りやすいですね。リバーブの響きも確認しやすかったです。低域はしっかり出ていますが、決して重低音を強調しているのではなく、高域も大事にしているという印象を受けました。  それと、音の聴こえ方や装着感を含めて、耳に着けている感じがしないんですよ。ヘッドホン特有の圧迫感のなさという点では、他の機種と一線を画しています。グラドはハンドメイドのオープンエアー型で知られているだけあって、随所にこだわりやポリシーを感じますね。とにかくサウンドが自然です。イメージとしては、“思わず目を閉じて音楽に浸りたくなる音”で、制作の最後のチェック用にもオススメです。

オープンエアー型:5

ゼンハイザー HD700オープンプライス(市場予想価格:¥115,000前後)

問:ゼンハイザージャパン(株) http://www.senncom.jp/contact/

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* 一見、奇抜なデザインだが、着けていて圧迫感は感じない
3D的な感覚で音楽が楽しめる個性派ヘッドホン

製品概要
「ヨーロッパHi-Fiヘッドホン2012-2013」でベストプロダクトに選ばれ、日本でも「オーディオ銘機賞2013」のヘッドホン大賞を受賞したモデル。特別にチューニングされた高性能ドライバを採用し、またバッフルに角度を付けることで音の放射を最適化することにより、自然な厚みのあるサウンドを鳴らすことができる。

SPEC
●周波数特性:15Hz〜40kHz(?3dB)、8Hz〜44 kHz(?10dB) ●感度:105dB ●最大入力レベル:非公開 ●インピーダンス:150Ω ●ケーブル:3mストレート(両出し) ●重量:292g(ケーブルを除く)

 これは全体的には中低域寄りのサウンドで、耳の近くから高域→中域→低域というように、帯域によって音像の距離感が変わっていく印象があって、他のヘッドホンにはない奥行感が感じられる面白いタイプですね。音量を上げると、その距離感やバランスを保ったまま、レベルが大きくなっていきます。ある意味、3D的な感覚で音楽を聴くことができるので、個人的には制作以外にリスニングでも使ってみたいですね。  本体は軽量で、装着時に耳への圧迫感はありません。それと、ケーブルの被覆が一般的なナイロン製ではなくて布製で、ケーブルをまとめやすいですし、かつ絡まりにくいので、自宅やスタジオで扱ううえでもストレスは感じないと思います。

オープンエアー型:6

シュア SRH1840オープンプライス(市場予想価格:¥59,800前後)

問:(株)オールアクセス http://www.allaccess.co.jp

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* 軽くてもズレないので、頭に着けていてストレスを感じない
ボーカルの音作りをするのに最適なクセのない音質

製品概要
レコーディングやミックス以外に、マスタリング用途にも適したシュアのフラッグシップモデル。ドライバには40mmのネオジムマグネットを採用し、スムーズに伸びる高域と正確な低域を実現している。また、高密度のベロア素材を使ったイヤーパッドは、ミックスなどの長時間に及ぶ作業でも快適性をキープしてくれる。

SPEC
●周波数特性:15Hz〜40kHz(?3dB)、8Hz〜44 kHz(?10dB) ●感度:105dB ●最大入力レベル:非公開 ●インピーダンス:150Ω ●ケーブル:3mストレート(両出し) ●重量:292g(ケーブルを除く)

 これはボーカルが聴きやすくて、楽曲の全体像をつかみやすいですね。フラットな低域と高域に対して、中域が少し持ち上がって聴こえるので、歌ものの制作に向いている印象です。本体は軽くてフィット感も良好で、頭を動かしてもズレにくく作られています。圧迫感もないので、長時間におよぶミックスの作業でも使いやすいと思います。  エフェクトのかかり具合も問題なくチェックできました。特にリバーブの伸び加減がしっかりと確認できますし、オープンエアー型ならではの音の空間の広がりが気持ち良かったです。これ1本あればあらゆる作業をこなせるでしょうね。ケーブルが取り外せて簡単に交換できるという点もメリットです。

オープンエアー型:7

ウルトラゾーン PRO2900オープンプライス(市場予想価格:¥69,300前後)

問:(株)タイムロード http://www.timelord.co.jp

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* ハウジングのサイズは大きめで、耳をすっぽりと覆ってくれる
原音の質感を忠実に再現する色付けのなさが魅力

製品概要
同社のPROシリーズの密閉型におけるトップモデル「PRO 900」と同じチタンドライバを採用したオープンエアー型のモデル。高い解像度と正確な再現性を持っており、伸びやかなヌケの良さで多くのプロから支持されている。また、低周波電磁波を98%カットする「ULE」という独自の技術が投入されているのもポイントだ。

SPEC
●周波数特性:6Hz〜42kHz ●感度:96dB ●最大入力レベル:60mW ●インピーダンス:40Ω ●ケーブル:1.5mストレート、3mカール(片出し、着脱式) ●重量:295g(ケーブル除く)

 このモデルはオープンエアー型の特性を存分に発揮する大きめなハウジングが特徴で、音的には色付けが少なくて、音圧がしっかりと感じられました。低域と高域がクリアに聴こえて、1つ1つの音のエッジ感が強いので、各音の存在感をしっかりと把握できます。ローも十分なので、リズムの確認やダンス系の楽曲制作に向いていますが、オールジャンルで使えそうです。あと、音楽だけでなく、爆発音とかも気持ち良く聴けたので、ゲーム音楽やSEの制作にも使えると思いました。
 原音の質感を忠実に再現してくれる印象なので、生楽器の一発録りやフィールドレコーディングのモニターとしてもいいですね。色付けはないけど、個性を持ったモデルです。

オープンエアー型:その他の注目モデル

ハイファイマン HE-6オープンプライス(市場予想価格:¥119,900)

問:(株)トップウイング http://www.twctokyo.co.jp

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ニューヨークで設立された新興ハイエンドオーディオ・ブランドのハイファイマンが開発した最高級モデル。金製の平面駆動型磁気ドライバを搭載しており、ナチュラルかつダイナミックレンジの広いサウンドを再生することができる。なお、イヤーパッドは取り外して交換することが可能だ

ベイヤーダイナミック DT 990 PROオープンプライス(市場予想価格:¥22,000前後)

問:ティアック(株) http://tascam.jp

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レスポンスに優れた軽量なダイヤフラムを採用し、パワフルかつ繊細なサウンドを実現した、リファレンスモニターに最適なヘッドホン。堅牢な作りのヘッドバンドとソフトなタッチのイヤーパッドにより、長時間のモニターでも疲れを感じさせない。ケーブルは3mのカールタイプが採用されている

ローランド RH-A30¥17,600

問:ローランド(株) http://www.roland.co.jp

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高性能な45mmドライバを採用し、幅広いレンジで立体感のあるサウンドを得ることができるオープンエアー型のモデル。クリアで輪郭のハッキリした音像は、シンセサイザーやデジタルピアノをはじめ、デジタルサウンドを多用する最近のレコーディングやミックスでも威力を発揮する

モデル:藤澤有沙

藤澤有沙

藤澤 有沙(ふじさわありさ)

1989年10月27日、宮城県生まれ、埼玉県育ち。3歳からクラシックピアノを習い、18歳からキーボードを始める。現在では、YUIや渡辺麻友(AKB48)、沢井美空などのライブサポートなどで活躍しているキーボーディスト。なお、群青フラウというバンドでも活動している。